essence of NY ロゴ
ニューヨークから発信するプロのクリエイター向け、広告&デザイン戦略情報サイト

line
Feature 02:
プラスがいっぱい (後編) by Hewlett-Packard
updated on January 31, 2003

feature01-1.gif
feature01-2.jpg
feature01-3.jpg
feature01-4.jpg
feature01-5.jpg
feature01-6.jpg
feature01-7.jpg
feature01-8.jpg
feature01-9.gif
各々クリックすると大きな写真が見られます
昨年、アメリカ版 Newsweek 誌12月2日号に掲載されたヒューレット・パッカード社の全16ページにわたる雑誌広告。中綴じで厚手の紙を使っているので、ホッチキスから引き抜けばパンフレットになるという仕様。

冒頭で "For the world's great companies, thinkers and doers, hp technology, hp service and hp people make more things more possible. (世界の偉大なる企業、考える人、実行する人のために、hpのテクノロジー、サービス、人々は、もっと多くのものごとをもっと可能にします)" と謳い、"+hp = everything is possible (プラスhpで全てのことが可能である) " というキャッチコピーがあるだけの巻頭ページ。全面黒地に小さな色とりどりの+とその軌跡のようなラインの中で、少し大きな白抜きの+hpが目立つが、この時点では何を意味するのかよくわからない。

始まりは何のインパクトもないようだが、この巻頭ページが一連の広告の序論でもあり、結論でもある。「hpがプラスされることで可能になっていることは何なのか?」を、後に続く7見開きで7つの例とともに説明するという構成で、次第に+hpの意味が強く感じられるようになってくる。

以下、7見開きのキャッチコピーとリードを順に見ていくと、hpは・・・

"explorers + hp (探検家+hp)": 宇宙飛行士
ネットワークの障害を監視するHP OpenViewTMをNASAに提供。それによってNASAはIT問題にわずらわされることなく、本来のミッションである、探検すること、発見すること、インスパイアすることに集中できる。

"amazon.com + hp (アマゾン・ドット・コム+hp)": 倉庫
Amazon.com のずば抜けて柔軟で、安定、しかも経済的なLinuxの環境を開発。アマゾンのサイトの稼働がそれを証明している。

"hong kong goverment's esd + hp (香港政府のESD+hp)": チャイニーズ・ヌードルショップ
香港特別行政区のためにウェブポータル、Electric Service Delivery (www.esd.gov.hk) を開発。これによって24時間市民は政府のサービスを利用できる。

"bmw williamsf1 team + hp (BMWウイリアムズF1チームプラスhp)": レーシングカー
BMW ウイリアムズF1チームのスポンサー。レース中にはhp製スーパーコンピュータ、サーバー、ノートブックがリアルタイムでデータを分析。

"birdlife finland + hp (バードライフ・フィンランド+hp)": バードウォッチングする人
バードライフ・フィンランドという団体のために、GPS 搭載の携帯電話を使ったバード・ウォッチングのシステムを構築。

"fedex + hp (フェデックス+hp)": FedEx の配送用飛行機
宅配会社フェデックスのHP OpenViewTMも提供。

"dreamworks + hp (ドリームワークス+hp)": レンダリングされるアニメ・キャラクター、シュレック
昨年ヒットしたアニメ映画 "シュレック"の製作で知られるドリームワークスとパートナーシップを持つ。hpのワークステーションは、アニメのレンダリングにかかる時間を短縮し、コスト削減を実現。

そして最終ページは中央にhpのロゴ。最初のページのデザインとつながり、裏表紙になっている。

まぁ、7見開きもあるとなると、めくってもめくってもまだ続くって感じで、そのボリュームだけでも圧倒されるのだが、そういう力業に加え、多次元的なプラス・アルファがここにはある。

hpというと、プリンターやファックスマシンといったオフィス機器がまず頭に浮かぶという人が多いのではないだろうか。エンターテイメント性もなければ、ものすごいハイテクっていう凄さもない、なんとも地味〜なイメージだ。hpが貢献している実例をこのように列挙することで、hpは、幅広い活躍ぶりを根拠をもって宣伝しただけでなく、NASA、オンラインショップ、政府、F1、愛鳥会、ハリウッド映画に対して人々が持っているイメージを、hpのものとして放った。

7見開きにある写真からは、ダイナミックで、刺激的で、おもしろくて、役に立って、グローバルで、高度で、意義があって・・・そんなプラス・イメージが直接視覚的に伝わってくる。+hpとなりうる候補は他にもあっただろうと思うが、この7つのバラエティとバランスがとてもいい。失礼な表現かも知れないが、虎の威をきれいに借りた、非常によくできた広告だと思う。

2003年1月号 [ Feature 01 | Feature 02 | NY now ]