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Feature 01:
春の訪れを告げるイベント、メイシーズ・フラワーショー
updated on April 23, 2003

Flower Show Flower Show Flower Show
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さまざまな映画の舞台にもなっているニューヨークの老舗デパート、メイシーズが主催するイベントとしては、7月の独立記念日の花火大会、11月のサンクスギビング・デー (感謝祭) のスヌーピーやスパイダーマンの巨大なバルーンパレードが有名だが、これはあまり日本では知られていないのではないだろうか。毎年4月の復活祭(今年は4月20日)の時期に行われるフラワーショーである。

出入り口には上の写真のような楽しいデコレーションが施され、1階の売り場は、4月13日から27日まで、全部で3万種、百万本以上の花、花、花で埋め尽くされ、まさに一気に春の到来、という感じ。

Flower Show
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今年の目玉は、高さ7フィート (=約213 cm) のトピアリー。トピアリーとは、映画『シザーハンズ』で見られたような、動物の形などさまざまな造形に刈り込んで作る西洋版盆栽のことだが、このトピアリーは、生花で作られた地球で、ゆっくり自転するというもの。左の写真は、赤いアフリカ大陸、黄色いヨーロッパとロシア、ピンクの中東〜アジアが見えているところ。フラワーショーを目当てに訪れる観光客も多く、記念撮影の人気スポットとなっている。

そして、店内だけでなく、ショーウィンドウも生花をふんだんに使ったディスプレイ。ことに絵本作家 Eric Carl の作品を用いたブロードウェイ側のウィンドウは秀逸。彼の作品の人気キャラクターであるトンボ、フクロウ、イモムシ、蝶などが、カラフルに、ヴィヴィットに、本物のお花畑の中によみがえったようだ。

これらは7階で行われているチルドレンズ・ガーデン(今年からスタートした)に呼応して作られたものだが、子供向けとはいえ全く幼稚ではなく、アーティスティックなのがいい。ブルーミングデールズ、サックス・フィフスアベニューなどの他のニューヨークのデパートに比べて、メイシーズは庶民派の店舗。お高くとまらず、人々に親しまれつつ、老舗らしい風格というか品位が保たれ、成功していると思う。

「今日からメイシーズのフラワーショーです。ついに春が来ました!」などとニュースでも報じられ、みんなに喜んでもらえる。そんなイベントは、テレビコマーシャルを打つ以上の宣伝効果もあるが、単に一デパートの商業的プロモーションに終わらず、人々の心に思い出として残り、生き続ける。地域の人々から愛されるお店、そんなスタンスは素敵だと思う。

2003年4月号 [ Feature 01 | Feature 02 | NY now ]