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Feature 03:
ごもっともにシュール by Clorox Company
updated on August 12, 2003

台所用品や掃除用商品の広告は、とかく機能や効果を直接的に謳ったそのまんまな表現が多いが、これはすっきり端的で目を引いた。オレンジの皮から抽出したオイルを染みこませたおしぼりタオル、409 Orange Power Wipes の雑誌広告だ。

まず、単純なことだが、ぱっと見て商品に目がいくように色彩が計算されている。上下の戸棚に挟まれた壁の部分だけがかすかに緑味を帯びている他は、取っ手、蛇口、調理道具の銀色に白が基調。白のボウルに入ったリンゴが唯一商品以外の有彩色だが、赤いリンゴではなく青リンゴを選んだことで壁の色に溶け込み、オレンジ色である商品を目立たせようという意図を邪魔することなく、台所という生活感、臨場感を演出していて正解だ。

本来ならカウンタートップ置かれるであろう商品を横位置の見せ方にしたことで、宙に浮かんでいるようにも見え、ちょっとシュールなインパクトが与えられた。"the towel that cuts grease.(油落ちのいいタオル)" という商品の特長をずばり言い切ったキャッチコピー、商品から飛び出したような配置なのも愛嬌がある。

この広告が巧いのは、視覚的インパクトのある場所に言うべきコトがこめられている所にある。アメリカのキッチンなら大抵この場所にこの大きさで、まさしくこんな具合であるだろうと、誰もが自然に思い浮かべるのはロールのキッチン・タオル/ペーパー。409 Orange Power Wipes は、油汚れを拭き取るという用途において、従来のキッチンタオルよりも優れているというのが商品のキャッチなので、この差し替えのような配置はとても効いているのである。クリーン・ヒットだと思う。

--> Clorox Company オフィシャル・サイト
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