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Feature 01:
リアリティ禁煙キャンペーン by American Legacy Foundation
updated on February 19, 2004

基本的には文字だけのポスター。1つは "Man quits, lives to tell about it.(男はやめ、それについて語るために生きる)"、もう1つは "Man saves own life.(男は自らの命を救う)" というキャッチコピーで、いずれにも Watch Bob quit smoking (ボブが禁煙するのを見よう): という補足コピーとBOBQUITS.COM というウェブサイトのアドレスが書かれている。

ボブという男が禁煙するんだろうというのは想像がついたが、そのための壁貼りポスターとウェブサイト、加えて新聞広告にテレビCM (サイトのトップページのフラッシュムービーがそれ)?!何やら大掛かりな仕掛け。サイトをチェックしてみたところ、BOBQUITS.COMとAmerican Legacy Foundation 、ニューヨーク市衛生局による禁煙キャンペーンであることがわかった。

サイトでは、ニューヨーク生まれ、ニューヨーク育ちのボブが、1週間の準備期間も含めてタバコをやめていくプロセスが、ブログ (ウェブで公表されるモノローグ)とムービーで毎日更新され、禁煙をサポートする施設・団体のリストが掲載されている。ボブ というのは禁煙したいニューヨーカーを象徴する喫煙者の仮名で、ブログやムービーはリアルタイムのものではないが、内容は事実に基づくもの。喫煙者は、2003年12月29日から準備を始め、今年1月5日から禁煙を実行している。

アメリカでは、高い視聴率を獲得したCBSテレビの『サバイバー』をはじめ、MTVの『オズ・ボーンズ』、NBCの『アプレンティス』等、リアリティ番組と呼ばれる擬似ドキュメンタリー番組が花盛り。BOBQUITS.COM は同様の手法を用いたリアリティ広告。

統計によると、喫煙者の70%はタバコを止めたいと思っており、ニューヨーク市の喫煙者は2003年に平均5回禁煙を試みているという。5回試みたということは5回は挫折したということだ。タバコを止める気のない人にタバコがいかに害があるかを説くことは有効かもしれないが、既に止めたいと思っている人にとってその害は周知の事実であり、害を説くことだけでは禁煙を成功させる助けにはならない。だからこそ、自己投影できるキャラクターを設定したこの手法に行き着いたのだろう。

サイト誘致のアプローチの仕方が斬新であるとともに、サイトの中身自体も効き目がありそうだ。

--> BOBQUITS.COM オフィシャル・サイト
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