これまでに成功した例というと、いつでも何かが酒のボトルの形になっているという "アブサルート" があるが、ここ１〜２年で元気なのは、ナショナル・フルイド・ミルク・プロセッサー・プロモーション・ボード(全米ミルク加工業者協会) が展開している広告。

有名人シリーズと一般人シリーズがあるが、とにかく毎回登場する人物は、その人なりのフツーの表情（そのキャラクターによってある人はにっこり、ある人はむっつり、ある人は厳しい表情）をしているのだが、必ず上唇の上に牛乳の白いヒゲを生やしている。そして 'MILK' のロゴとキャッチフレーズ、"Where's your mustache?(あなたの口ヒゲはどこ？)"、そしてリードコピーでは、登場人物それぞれのスタンスで「牛乳を飲みましょう」ということを（主に栄養の面 から）勧めている。

スパイク・リーのバージョンでは彼が映画のディレクションをしているという設定で、「牛乳は子供のものだと思っていたが、君は自分が35歳になった今も成長していることに気付く。君はカルシウム狂だ、いいね。よし、アクション！そうそう、冷蔵庫を開けてー、低脂肪牛乳をつかんでー、そして飲む。カット。箱から飲むんじゃないんだよなぁ。はい、もう１回。コップを使って飲もう。」というリード。カルシウムを求めてやまない人間に、牛乳をコップに注ぐ手間をかけさせる演出というのがスパイク・リーらしくて笑える。

以下、モデルは無脂肪牛乳を飲んでカルシウムを取ろうと女の子に話しかけ、ボクサーは高タンパクのスキムミルクは筋肉を強くし、重量 オーバーにもならないと言い、マジシャンはスキムミルクが私の手で無脂肪牛乳になってそして消す（スキムミルクはもともと無脂肪牛乳だし、消える＝飲むってこと）といった具合。

			左から順に デイジー・フエンテス (スーパー・モデル)、 ラリー・キング (CNNニュース・キャスター) シェリー・ストリング・フィールド (人気TVドラマ"ER" の女優)
			オスカー・デ・ラ・ホヤ (ウェルター級世界チャンピオン)、 パトリック・ユーイング (NBA NYニックスのセンタープレイヤー) エイミー・ヴァン・ダイケン (アトタンタ五輪で４つの金メダル獲得の水泳選手)
			アレックス＆エディ ヴァン・ヘイレン (ロック歌手)、 ジミー・スミツ＆デニス・フランツ (人気刑事ドラマ"NYPD Blue"の俳優)、 デービッド・カッパーフィールド (マジシャン)

次は誰が出てくるのかという期待感さえ持たせる広告というのはそうそうない。短いリードと一枚の写 真で、いろんな職業の人々と牛乳とのかかわりをちょっと折り込みながら、健康のために牛乳を飲もうというメッセージがシンプルに伝わる良くできた広告である。ウェブ・サイトは、http://www.whymilk.com。

[ おまけ ]
右は"サタデーナイト・ライブ"や"ルース・ブラザーズ" で知られる音楽ディレクターのポール・シャッファー。人気長寿トーク番組デービッド・レターマンの"レイト・ショー"にも出演。彼の口ひげは茶色い。それはチョコレートミルク（＝ミルクココア）だから。

[ 続報 ] (updated on 4/22)
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