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メルセデス-ベンツのワンポイント広告
広告主: Mercedes-Benz of North America, Inc., Montvale, N.J., Member of the Daimler-Benz Group.
4/21/98


Fun どうしてここまでワンパターンが多いのかと思う広告の出し方をしている業種の一つに、自動車メーカーがある。コピーが違う表現になって、バックのすばらしい景色が別のすばらしい景色になって、あるいはその車を紹介する芸能人が別の時の人物になって・・・そしてピカピカの車。車の写真が出てこない車の広告は、まずこれまでになかったと言っていい。

新車の発表でデザインや機能を紹介・告知するための広告として、それらは必要であるだろうが、それを作っている企業の顔が見えるような広告もあっていいんじゃないだろうか。それは、いわゆるイメージ広告と言われるもので、製品のスペックによる差別 化が難しくなればなるほど、必要であり、ターゲットを新規開拓するにあたっては、即効薬になるパワーを持ちうるものである。

というわけで、このメルセデス-ベンツの雑誌広告、すごい。

生真面目、質実剛健、秀逸、堅実・・・。ベンツがこれまでに築き上げてきたイメージを言葉にするならそんなところだろうか。とにかく高品質であることには誰も疑いを持たないが、熟年層のエグゼクティブが乗る遊び心のない車というイメージ。ちゃらけた部分を排除し、ある種のステイタスを確立した後の次のステップという意味だろうか、いきなりこうである。

ヒヨコの目がベンツのマークになっていて、キャッチは下部の黒帯のところに"Fun"、それだけ。絵として、確かにこれは「Fun」だ。明るくて、楽しげで、愉快だ。こんな茶目っ気は、風光明媚を背景にピカピカの車を紹介している類の広告では到底伝えられない。製品の付加価値は、こうやってつけるんだ、広告の力はこれだ、そんなパワーがここにはある。この広告が、ベンツがFunだと思わせてしまう。

以下、同じコンセプトで過去にメルセデスが出した雑誌広告を紹介する。

Glamour Joy Love
--各写真をクリックすると、より大きな写真が見られます。(各13〜18k)--
Rudolph the red-Nosed Reindeer® (c)The Rundolph Company, L.P.
Rudolph the Red-Nosed Reindeer: The Movie, coming fall 1998 from GoodTimes Entertainment.


左のマリリン・モンローはほくろがベンツのマークで、コピーが "Glamour"。グラマーは、英語では豊満なボディを形容するのではなく、魅力的であるという意味。中央はクリスマスの時のもので、真っ赤に光る鼻がベンツのマークになっていて、コピーは "Joy"、喜び。Joyful という言葉はクリスマスの頃にはよく聞かれる。右はバレンタインデーの時のもので、いっぱいつまった箱の中のチョコレートの一つ(ハートの右部)がベンツのマークのエンボスになっていて、コピーは "Love"。

広告ひとつが、ベンツに対するこれまでのイメージを覆し、新境地を切り開く。イメージ広告は、曖昧なグッド・イメージをなんとなく徐々に浸透させていくためだけにあるものではないことを、この広告は教えてくれる。


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This article is critique about overseas advertising and products to Japan. All rights of original works are reserved by the advertisers or the creators who made them. No reproduction or republication.

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