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アドバタイジング・ウォッチング
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Hello の言い方
広告主: Apple Inc.
8/24/99 

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写真をクリックすると拡大写 真が見られます。
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『TIME』誌に掲載されたアップル社の新製品、iBookの雑誌広告。究極と言っていいほどに単純で明快な広告。分厚い紙に印刷され、接着剤で雑誌本体に貼付されており、きれいに取り外せ、取り外すとそのまま立派なパンフレットとなる。

まずは白地にオレンジ色のiBookの閉じた状態での俯瞰写真。ページをめくると次にiBookを開けた状態の俯瞰写 真。そしてまたページをめくるとiBookの裏側の俯瞰写真でこの広告は完結している。

いわゆるキャッチコピーやリードコピー、商品スペックは一切なし。最後のページ左上に「www.apple.com」、左下にオレンジのアップルマーク+スローガンである「Think different」の文字があるだけ。この商品に関する情報は全て見開きページのiBookのモニターの部分、つまりMacのデスクトップスクリーンの中にある、という構成。

ページをめくることがiBookを開け、そして閉じることになる。この広告の狙いはそれだけなのだが、「ページをめくる」という行為は、雑誌を見ている時、何の意思を介することなく自ずと行われる行為であるから、ほとんど全ての人がこの広告の思惑通 りの行動をとることになる。

あ、iBookだと思ってページをめくるがコピーがないので続けざまにページをめくるとそこにはiBookの裏側の写 真が。そこでこの広告が終わってしまったことを知り、初めてこの広告の狙いに気付く。その辺が「やられた」という感じで愉快だ。(と同時に、プロダクトデザインは立体をデザインするのであるからこうあるべきだとも言えるが、裏側まで見せて絵になる商品というのもすごいと思う。)

前回アップルがG3パワーブックを発表した時は、4つ折の広告だった。展開した状態を "内側" とすると、畳んだ状態で見られる"外側" のページは全て黒を基調とし、黒バックで商品と背景を同化させつつ豊かなグレーの陰影で様々な角度から撮影した写 真で商品のフォルムを重厚に見せておき、4つ折りページを展開した "内側" のページでは、白バックに14.1インチの原寸大画面、そこにはでっかい口を開けたサメを大迫力で見せた。びっくり箱を開けた時のような驚きを見る側に与える見事な演出であった。細かい商品スペックも "外側" の最後のページに一覧表にして載せてあった。

それとは対照的な今回のiBookの広告だ。商品写真は現物よりも幾分小さめ。背景も白。「12.1インチのスクリーンで、速いG3チップ搭載で、バッテリーが6時間もって、56Kモデム付きで、USBポートで、CD-ROMがいっぱいついてて、オプションのエアポートを使うとワイアレスでインターネットできる」ということが写 真の画面の部分に書いてあるがあくまでそれは商品写真の一部である。スペックやコピー等文字情報による表現を切り捨てたことで、商品のデザインがより大きな声でものを言う。この商品ならではの完璧な hello だ。

  • アップル社のオフィシャルサイト-->www.apple.com


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This article is critique about overseas advertising and products to Japan. All rights of original works are reserved by the advertisers or the creators who made them. No reproduction or republication.

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