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何の変哲もなく、さり気なくページ中央に配置されたグラス入りのコークだ。

宙に浮かんだ５つの玉と、マドラー（かきまぜ棒）としてコップにささっている赤い棒が、アメリカでよく見かけるシャボン玉スティック（石鹸液にこの丸い輪の部分を浸し、膜が張った内円部分を吹くとシャボン玉になるというしくみ）であるという２点を除けば。

そう。この雑誌広告、商品のダイエット・コークから、シャボン玉が出ている、という図式。だから宙に浮かんでいる透明の玉はコーク色だし、よく見ると一番下の小さい玉は、シャボン玉が２つひっついたみたいな、あのダルマ型になっている。（芸が細かい。）また、このシャボン玉スティックの角度と泡の位置関係が絶妙で、シャボン玉スティックをクルクルとかき混ぜていたら上の輪っかから自然とシャボン玉が作られたかのような空想を掻き立てる。

ダイエット・コークを広告する。そこで何を言わなければいけないか？「軽さ」。軽いと言えば何か？「シャボン玉」。コンセプトもそれを表現するための発想も極めてシンプルなところから来ているが、とても明解な正答としてこの広告、完成している。キャッチコピーもリードコピーもなし。四隅のどこかに入れなければならないとされる押さえのロゴさえない（グラスに書いてあるからわかる、のだが、それですまないのが慣習、ですよね？）。ここまで徹底して余分なものを削ぎ落としたことで、「シャボン玉のように軽いダイエットコーク」というメッセージが効果的に、ストレートに発せられる。

奇想天外なことをして目立てば勝ち、なんかお洒落、面白可笑しい、カワイイといったイメージに訴えて好感を持たせようという類の広告もあれば、こんな、シンプルな理屈や発想を絵にしただけという広告もある。そしてそれは普遍的に強い。耳を澄ませば、シュワーっという音がして、ぷわっぷわっとコークのシャボン玉が・・・そんな気がしてくるではないか。

• The Coca-Cola Company のサイト--＞www.coke.com