見てくれが質素なんだからクオリティにかかっている比重が高いはずだという心理作用の上に立って、"無印良品" 的デザインは、ノーブランド、グッドクオリティ＆リーズナブル・プライスというコンセプトを消費者に効果 的にアピールしている。

主張しすぎる過剰なパッケージをしていない、という点において、今回取り上げたオリオ・ドロのオリーブオイルも"無印良品"的プロダクトと共通 するが、質素でもリーズナブル・プライスでもなく、エレガントで高級であり、ニーズに応える形での無印プロダクトであるという点で一線を画している。

なぜだか直方体が多いオリーブオイルのボトルだが、これは丸いスレンダーなボトル（底にはMade in Franceのエンボス・・・結構こだわってる・・・)。これに黄〜茶系のアラベスクな木のイラストの切り抜きが貼られているだけ。透明なオイル自体の色も含めて、全体がすっきりカラーコーディネートされている。ブランド・ロゴ入りの格調高げなラベルはどこにもない。後ろに製造元の住所、原料名等のスペックが書かれた小さな黄色のシールがあって、そこにはOlio D'oro Extra Virgin Olive Oilと書かれているが、正面から見る限りでは、完全な無印である。

エクストラ・バージン・オリーブ・オイルは、調理用というよりは、熱を通 さないドレッシングや、食べる直前のひとりひとりの最後のちょっとした味付け用に使われるものなので、塩＆こしょう、ビネガーとともにテーブルに並べられるチャンスも多い。そういう用途を考えると、飾りたくなるようなデザインのボトルのオリオ・ドロのオリーブオイルは益々すばらしい。

グッド・デザインな生活まわりのもの・・・というコンセプトで新商品をデザインすると、どんなジャンルでも、即、モノトーンだったり、バウハウス的シンプルさを模倣したようなものになりがちだが、それとは違うエコロジカルで明るいエレガンスがオリオ・ドロのボトル ・デザインにはある。これは、食においては絶対欠かせないものである。何がグッド・デザインかを考える時、それが使われるシチュエーションまで含めてデザインされたものであるかどうかは大きなポイントだ。

今後、オリオ・ドロに習って、テーブルの上でインテリアとして価値あるボトルのケチャップ、マヨネーズ、ドレッシングなんていうのがあってもいいのではないだろうか。バター、ジャム、ソース、醤油、塩、こしょうしかりである。現時点では、やかましいくらいロゴが目立つデザインのものがひしめくスーパーの棚の中で、寡黙にして目を引くことは間違いない。

[ 豆知識 ]
エクストラ・バージン・オリーブ・オイル：コールド-プレスと呼ばれる、化学的な工程を一切踏まない方法でオリーブを一回だけ絞った酸度１%以下のオリーブオイルのこと。

オリオ・ドロ・エクストラ・バージン・オリーブオイルは、カリフォルニアワインで有名なビンヤード（ブドウ畑）、ナパ・バレーで育てられたオリーブをイタリアの古典的な製法にのっとって、石臼で絞ったもの。新鮮なオリーブオイルを作るために、収穫から絞るまでを一日で行っており、年間に400から500ケースのみ製造される。375ml: $16 (アメリカではイタリアからの輸入エクストラ・バージン・オリーブ・オイル500ml入り$5〜6がポピュラー)

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