確かにミュージシャンによっては出すアルバムのコンセプトによってパッケージ＆グラフィックも含めてユニークなデザインのものを出しているものが時折見られる。だが、一般 にはCDというと、あの、ほぼ正方形の透明なプラスティックのケースに入っているもの。店頭に他のCDと同じ棚に並べられなければならないとすれば、コスト・パフォーマンスの問題と相まって、そうそうクリエイティビティ溢れるマテリアルや形状のものが市場に出回っていないのも頷ける。

そこにブリキの丸い缶に入ったCD。いささか掟破りのカンがある。ハーモニー・ミュージックは、"Natural Brain Waves"、"Box Art"、"Dog'n'Roll" というレーベルがあり、アーティスト別 、音楽のカテゴリー別のアルバムを編集＆プロデュースしており、いわゆるアーティストの新作アルバムをプロデュースするレコード(CD)会社とは違うようだ。

そういった特性を考えると、セレクションの善し悪しによる音楽的クオリティが本質として重要であるとともに、類似した商品がありうるこのジャンルにおいて、パッケージ・デザインによる他商品との差別 化も必要となってくるわけである。そして、結果的には、もう一つこの商品が成功したと思われる点がある。

このCD、SOHOの服飾雑貨屋のレジ横にディスプレイされて売られていた。いかに人目に触れるかということを考える時、多種のメディアを使っての広告やキャンペーンなど露出量 を物理的に多くすることは手っとり早い方法であろうが、このように、新しい販売経路を開拓することも有効な方法論であると言える。未開の地には競合する他商品がないのであるから。

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--＞ ハーモニー・ミュージックのウェブ・サイト：www.harmonymusic.it（イタリア語only）