大阪の造幣局の桜の通り抜けも終わり、本州の桜はもうフィナーレを迎えたであろうが、ニューヨークではこれからが本番。今週末26日と27日、ブルックリン植物園では Sakura Matsuri が催される。
季節が徐々に移り変わるのではなく、行ったり来たり、激変する (4月7日には雪が積もった) からなのであろうか、例年、Sakura Matsuri では、一重の桜も、八重桜も、しだれ桜も満開。"春" の中での微妙な季節感を無視して、レンギョやコブシといった日本では春の初めというか冬の終わりに咲く花も一緒くたになって、「とにかく春は春!」ってな感じで、我先にと咲き競っている。花たちが大声でおしゃべりしているのが聞こえるかのような賑やかさである。風情というよりは、あくまで元気いっぱい、命躍動、エネルギッシュな春なのだ。
今、街のあちこちでは、dogwood という街路樹が、桜の花よりは幾分小振りの白い花を枝いっぱいに咲かせている。日本の桜のような妖艶さとはひと味違った、可憐な花で美しい。私は、桜よりは身近にある dogwood の芽の膨らみや花の咲き具合で、春の足音を聞いてきた。
辞書を引くと、dogwood はノースキャロライナの州花で、花言葉は Love in adversity (ランダムハウス英語辞典より) とあった。「逆境の愛」とでも訳すのだろうか。なんだか時代的にタイムリーで、心にじんときた。そっと、平和な世界になりますようにと祈った。