ブルガリ、ティファニーと高級ブティックが向かい合うフィフス・アベニュー 57丁目の交差点に立つ高級デパートバーグドルフ・グッドマンのウィンドウは、そのソリュージョンの一つを提示している。奥行きを削るように置かれた書き割りに、カラフルなアンティーク風の本が並べられた本棚の絵、ディスプレイ・ウインドウを書斎に見立てて置かれた犬の置物、そして美しいデザインのデスクの上に無造作に並べられた時計、レターセットやペン等のステーショナリー。

それら商品が占めているスペースは、大きな空間の中のちっぽけなスペースだが、書斎というシチュエーション設定の中でそれら小物が持つ意味、書き割りという平面 との対比の中での立体感が、とても存在感を持たせ、浮き立たせている。もちろん、書き割りを使ってもチープになっていない点はさすが。

右の写真は、入り口付近の壁に設けられた小さなスペース。外枠はニューヨークらしいというか、防犯のため鍵付きになっているが、設定としては、壁に掛けられた絵。金の額縁の中に唇と手のシュールな絵にはアイシャドウ・キット、フォト・コラージュにはリップ・スティックとマニキュア。しっかり照明も額の中にある。

一方オーソドックスな手法は、世界最大のデパート、メーシーズ。小さく窓を開けた板でウインドウのほとんどを覆い、靴、ハンドバッグ、アクセサリーを小さなスペースの中でレイアウトしている。NINE WESTのブランドのロゴをそれぞれウィンドウ・ガラスに入れて雑誌の広告風にしてある点にワンポイント。

[おまけ]

チェルシーにあったデパート、バーニーズの後に、"FOXBOOKS & sons" というお店ができる。何の変哲もない現在改修工事中の風景に思われるかも知れないが、どこかに違和感がある。近づいてよく見てみると、街路樹の葉っぱは作り物。落葉した街路樹が多い中、この一角だけに燃えるような紅葉なので実に目立っている。開店前からもう宣伝が始まっているのである。と思いきや、これ、『ユーガッタメール』の撮影用セットだったことが後日わかった。

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