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ストリート・ウォッチング
街角

建設工事中の壁=スペース for アート& PR
New York State's 42nd Street Development Project
7/1/98


建設工事中のビルを囲う壁がある。トタン板かなんかで、日本だと白地に緑の十字マークがはいったヘルメットをかぶったグレーの作業服姿のおっちゃんが、「迷惑をかけて申し訳ない」と謝っている看板がかかっていたりする。確かに工事中は、毎日大きな音をたて続けることになったり、作業の車の出入りが交通 の妨げになったり、何かと人様に迷惑をかけることも多いので、とりあえずは平謝りしてとにかくもめごとを避けようとする姿勢もわかる。
工事中の壁
タイムズ・スクエアの
工事中のビルディングを
ぐるり取り囲む
黄色、黄緑、水色の壁
(Broadway 沿い 43rd St.〜42nd St.)

そんな謙虚な姿勢とは対照的に、空いてるスペースはなんでも活用、というのがニューヨーク流。ぱっと見た感じだと、写真展か雑誌のカバー展のようだが、これはNew York State's 42nd Street Development Project (ニューヨーク州の42nd St. 開発プロジェクト) のプロモーション広告。

州がまた粋なと思いきや、仕掛人はベネトンが発行している雑誌 "COLORS"のエディター(〜95年)、アート雑誌 "ARTFORUM"のアート・ディレクター、"INTERVIEW"のクリエイティブ・ディレクター、MTV、MOMA、トーキング・ヘッズetc.のプロモーターを務めたティボー・カーマン。さすが。

壁貼りポスター壁貼りポスター
"The People of 42nd Street" というタイトルで、各ポスター (発砲のパネルシートに貼られている) には、ここにいろんな理由で居合わせた通行人の顔写真と、雑誌のタイトルっぽく彼・彼女らの名前が赤字で入っている。そして左下角には赤い丸べたに白ヌキ文字でその人の肩書きとここに居合わせた理由が短い文章で書かれている。

「リトルリーグの選手:練習の帰り」「ジョガー:セントラルパークに走りに行く途中」「買い物客:メイシーズで買い物したあとぶらぶら」「ツーリスト:ニューヨークは初めて」なんていうのに混じって「ダンサー:オーディションに行くところ」なんていうのがあったりするのがこの場所ならではだったりして、見て歩くとなかなか面白い。また、モデルはほとんどが素人(中には有名人もいたりするが)なのにみんなとても自然な表情で、質の高いポートレイト写真集のよう。

タイムズ・スクエアの目抜き通りである42nd St.は、80年代にはポルノ・ショップが並び、ドラッグ・ディーラーや売春婦が横行し、治安も悪い地域として通 っていた。それが今や世界中から人が集まるNEW TIMES SQUARE となった。老若男女、様々な人種で構成されているこの連々々々々・・・貼りポスターは、"The Capital of the World (世界の首都)" と自ら名乗るニューヨークの、その中心地として生まれ変わろうとしているタイムズ・スクエアの開発プロジェクトのプロモーションにふさわしいものだ。

「ご迷惑をおかけしてすいません」と言う代わりに、「こんなにいろんな人がこんなにたくさん世界中から集まっている場所にしているのは、ニューヨーク州の42nd St. 開発プロジェクトです」というPRを、いともスマートにやってしまった。

この雑誌版が下記。"The Cast of 42nd Street (42nd St.の出演者)" というキャッチ・コピーに続くコピーには、タイムズ・スクエアの繁栄と衰退の歴史の記述に始まり、「(この開発プロジェクトによって蘇った) 42nd St.に再び集まった多様な人々は、人が通る道とは、街とは、民主主義とは何かを喚起させる。それはニューヨークを世界一 "異常に偉大なる" 街にしている、人種、スタイル、貧富の狂わんばかりの混合だ。」という言葉で締めくくられている。一開発プロジェクトを超えたティボー・カーマンの思想がここにはある。
雑誌広告
WIRED July 1998 掲載
見開き雑誌広告

全部で125人+1匹の
ポートレイト
写真の下には
下記の6行コピー

The Cast of 42nd Street   Over several icy days this past winter, photographer Neil Selkirk shot 1,000 pedestrians on what was until recently New York's boulevard of sensory assault. West 42nd Street was the first home of "Broadway" theatre. As "legitimate" theatre gave way to movies in the '30s and '40s, 42nd Street became the world capital of spectacular movie premieres and a street scene replete with big shiny convertibles (and hairdos). In the '50s and '60s, as television enveloped America in its self-satisfied, stupefying haze, 42nd Street the movie capital began to fade. By the mid-'60s the movie palaces, unable to attract first- or even second- or third-run film audiences, began offering porn films in order to pay the rent. The spaces between theaters became the porn shops that helped service the street's new audiences. This lasted until the early '90s. By now, everyone has heard of the miracle turnaround instigated by New York State's 42nd Street Development Project's planning and tax incentives, and by Michael Eisner's vision of the decrepit street's future as an urban entertainment mecca. Every development site has been spoken for. Conde Nast and Reters will occupy key intersections at one end of the block. A year ago, the other end at Eighth Avenue was Manhattan's most notorious corner for drugs, prostitution, and violence. Now they're building hotels. Things are so different that they've remained the same - an incredible mosaic of people are once again making 42nd Street their own. It reminds us what sidewalks, cities, and democracies are all about: the delirious mixture of ethnicities, styles, and fortunes that make New York the world's most "insanely great" city.

-Tibor Kalman

--各写真をクリックすると、より大きな写真が見られます。(各17〜79k)--


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"ESSENCE of NY"に掲載されている写真は、いずれもアメリカの広告作品の資料として紹介しているものです。写真の一部または全部を改竄または転載することは固くお断りいたします。原著作権並びに肖像権は、広告主・広告制作者・出演者がその権利を有します。記載されている会社名・製品名等は各社の商標および、登録商標です。掲載記事の無断転載を禁じます。

This article is critique about overseas advertising and products to Japan. All rights of original works are reserved by the advertisers or the creators who made them. No reproduction or republication.

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