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ストリート・ウォッチング
街角

サブリミナル効果のある(?)壁面広告
R. J. Reynolds Tobacco Co., Camel
11/3/98


ニューヨークでは、法の下、ビルディングの中は特別な換気システムがない場合(つまりほとんどの場合) 禁煙、60席以上のレストランでも禁煙、駅構内は言うまでもなく禁煙と、公の場ではタバコは御法度というのがもはや常識である。

それに、タバコ反対団体の力も強く、パッケージには「タバコの煙は癌の原因になります」、「禁煙することはあなたの健康に及ぼす害を著しく減少させます」、「妊婦による喫煙は、死産、早産、未熟児出産の結果 を引き起こす可能性があります」などの白窓黒文字の決まり文句を明記しなければならなかったりと、喫煙を促すような広告はやりにくくなっているというのがご時勢である。

camel








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ラクダのマークでお馴染みのタバコ「キャメル」は、1989年に始まった広告キャンペーンにカートゥーンのラクダ、"ジョー・キャメル" を起用したことで、中毒性がある危険なプロダクト(つまりタバコ)を18歳以下の青少年をも含めた若年層をターゲットとして販売し、彼らの健康を害したということで、1兆7700億ドルの訴えを起こされ、連邦政府からは "ジョー・キャメル" のビジュアルの広告使用を禁止された。また、「"ジョー・キャメル" の顔は男性性器のようである」ということでサブリミナル (潜在的) 効果に関する物議をかもしたりもした。

そういった背景があった上でのこの壁面広告。ライトブルーの平面に、4本のマッチ棒が等間隔に立ち、そのうち中央の2本の影がラクダのシルエットを描いている。そしてキャッチコピーが「見る側に自由な裁量が与えられた: サブリミナル・イメージ (VIEWER DISCRETION ADVISED: SUBLIMINAL IMAGERY)」。

キャメルのタバコのパッケージを出さずして、しっかりとその存在の影を見る側の潜在意識の中に落とすことに成功している。これだと青少年をターゲットにしているなどと槍玉に挙げられようもない。

販売促進のために行うのが広告だが、アメリカでは時代的にタバコの宣伝はあまり大々的にはできず、体に害がありますと断言した上で、旨いとか口当たりがいいとかこれを吸うといいことがあるとも言えなかったりと、何かと制作上の制約がある。そのせいもあって、男らしいカウボーイがひたすらメインビジュアルとして登場するだけの某最大手モノや、どれがどれだか区別 がつかないような、いつもさわやかな男女のモデルが登場するライトやメンソール系といった、原始的手法一本槍の広告が多い。それらに比べて今回のキャメルの広告は、全てのハンディキャップを前提として利用した、大変高度な広告である。



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