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ストリート・ウォッチング
街角

スケールとリアリティ
GAP
2/3/99

vertical Garment District on 6th Ave.
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ニューヨークにあって、ビルの壁面広告というのはとりたてて珍しいものではない。左の写 真は、アメリカのカジュアルウェアを扱うアパレル会社、GAPのもの。この、ただ女性モデルがジーンズに身をつつんで立っているだけの何の変哲もないデザインの壁面 広告、かなりなインパクトを持って飛び込んできた。

ひとつには確かにスケールの問題がある。面積としての大きさだけなら他にいくらで大きなものがあり、それだけではさして心に止まらないだろうが、これが目に若干新鮮に感じられるのは、極端に黄金比(1:1.618...という縦横比。ギリシャ時代から最も調和がとれて美しいとされ、ポスター、ノート、本、名刺等は大抵この比率になっている)を破った縦に長い比率のせいだ。横幅はそれほどなく、周囲のビルと比べて一目瞭然でわかるように、かなりな縦の長さがある。細長いがゆえにより縦方向の大きさを感じる。しかし強烈なインパクトの理由はそれだけではない。

巨大であるにもかかわらず、広告の中のモデルには大きさとしてのリアリティがある。それがこの壁面 広告がインパクトを持って飛び込んできた最大の理由だ。ローリング・ストーンズのミュージック・ビデオの中でマンハッタンの高層ビルをまたいで歩いていた巨人のミック・ジャガーやキース・リチャード、そんな感じで、このモデルは確かにここに立っている、ような気がしたことに対する驚きがここにあるのだ。

広告面は紺の四角に白抜きのGAPのロゴの所までで、ビルの4階から下は壁がむき出しのままになっている。実際には女性モデルの太股から下はロゴでトリミングされていて、足の先までは見えていないのだが、モデルの大きさ、足の切れている高さが絶妙なせいで、実際に地に足をつけて立っているように見えるのだ。人間の目は、見えないものをあるべきものとして想像して見てしまうことを止められない。

様々な媒体を使って広告をうつ時、同じモチーフをサイズだけあれこれ変えて展開するやり方は、刷り込み効果 の期待はできるが退屈な一面もある。例えばGAPのこの広告、同じデザインでコピーもなく雑誌の1ページの縦3分の1にそのまま入っていたりしたら目も当てられない。何の広告であるかというアイデンティティを維持しながら媒体特性を生かした好例である。


horizontal

こちらは横長
タイムズスクエアの路面店では
大男が寝転がっている
42th St.@ Broadway


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