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ストリート・ウォッチング
街角

裏も表も主役な光と影
Tara Thai Cuisine
12/3/00

ウィンドウ外 ウィンドウ中
クリックすると拡大写真が見られます。 (27 K & 20 K)

レストランの格付け本として著名なザガット・サーベイの採点項目に、味、サービスと並んでデコール(内装) がある。レストランにとって、店の演出はとても重要なポイントだ。人々は、外食に味覚や空腹の満足と同時に気分の満喫を求めている。

世界各国の人々が集まるニューヨークには、世界各国のお国料理を誇るレストランがあり、そこでは料理はもちろん、店舗デザインや、インテリアにも、それぞれのお国らしさが演出されている。エスニック料理が主人公なら、その舞台は異国情緒溢れるものを目指すというのは、至極もっともなことだ。しかし、「そのまんま」ではなく、伝統を現代テイストの中にうまく取り込んで「らしさ」を昇華するというのは難しい。

そういった中で、最近目にとまったのが、数ヶ月前にイーストビレッジにオープンしたタラ・タイ・キュイジーヌというレストランのウィンドウ・ディスプレイ。

原理はタイの伝統芸能の1つ、"ナンタルン Nang Tarung"(乾燥させた水牛の皮を切り抜き、更に色づけをして作った1枚の人形を、影絵師がスクリーンの裏側で操る影絵芝居)。天井から人形をつるして背後から光を照らし、そのシルエットを天井からぶらさげたスクリーンに映し出すというもの。

左の写真が、通りから見たレストランの入り口横のウィンドウ。円形のスクリーンに人形のシルエットが浮かび上がっている。スクリーンも人形も天井から糸で吊されているため、それぞれが中の空調で微妙に揺れ、その度に影絵がさまざまな角度で伸縮する。有機的なその動きは、とてもアイ・キャッチーだ。また、そのスクリーンが、ガラスにエッチングされたTara Thai cuisine という店名の上にうまく配置され、両方合わせてのトータルなロゴのように見える。

それを店内から見たのが右の写真。影絵の正体は、レースのように瀟洒な切り抜きの上に鮮やかに彩色された人形。ナンタルンなら裏舞台にあたるわけだが、人形はそれ自身で十分エスニック情緒を醸し出す美しいインテリアのモチーフとなっている。

それだけではない。これらの人形を照らし出している光源は、店内の唯一の照明であり、その光を吸収し、反射するスクリーンは、間接照明の役割を果たしているのだ。

単純な作りなのだが、それが、結果としては実に多様な役割を果たしていておもしろいものになっている。

また、異文化がアイデンティティを主張しつつ溶け込んでいるのがニューヨークらしくもあった。


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