2000年の9月1日号で紹介した『アブサルート空中楼閣』があった同じ場所に、またまた目を惹く看板があった。看板の左半分が男女のモノクロ写真で、右半分は、キンキラキンに光り輝くスパンコールがびっしりと貼られ、風で波打つと光が乱反射し、この上なく派手だ。

この看板、Jose Cuervo Especial というメキシコ産テキーラの広告で、この看板が設置されている通りのコーナー１ブロックをコの字型に取り囲む壁に敷き詰められたポスターが連動。ざっと数えただけで、1000本以上のテキーラのボトルのオンパレード。

１枚１枚のポスターには、このテキーラのボトル２本のスーパーリアル・イラストレーションと、右上隅に "Drink responsibly (飲酒は責任を持って)" というコピーがあるだけ。全体が黄色〜琥珀色の色調でまとめられており、なんてことはないどちらかというと古くさい感じがするデザインのボトルが、こうしてずらずらと並べられたことで、ポップアートのインスタレーションのようになった。

ここを通りかかった人は、これがテキーラなのか何なの知ることもなく、ブランド名も覚えなくても、ボトルのデザインだけは心に残ったのではないかと思う。10秒と立ち止まって見ることはないという前提で屋外の広告を考えるならば、こういう単純明快な反復による情報のインプットというのは、基本であり、一番効果があるものなのかもしれない。

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[ＮＹの近況] 9・11から半年たった３月11日から、ワールドトレードセンターがあった場所からほど近い場所で追悼アート・プロジェクトが行われている。 約2ｍ四方の土台２つに取りつけられた88個のサーチライトで光のツインタワーを形作るというもので、日没後から午後11時まで32日間にわたり点灯される。 上の方は光が弱まって少し広がって見えるので、期待していた程、タワーっぽくなく、むしろビルの合間から見える空に向かう光は、バットマンの映画に出てくるゴッサムシティのワンシーンのよう。 （左の写真は、２キロほど離れた筆者宅屋上から撮影）