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木のテーブルの上に置かれた一冊の革表紙のアルバム。表紙の四角い窓には野球帽をかぶり、グランドに立つグローブを持ったあどけない少女の写 真。そこに焼き印風の文字でコピー。

いつか彼女は雑誌を見つめて、自分が彼女が見ているモデル達と同じくらい細くなくてはいけないと考えるのだろうか？自立することは女性としての魅力を半減すると考えるのだろうか？尊敬できる女性をみつけられないから、期待をしないようになるのだろうか？
Will she look at magazines and think she has to be as thin as the models she sees? think that independence makes her less desireble? lower her expectations because she can't find women to look up to?

文字どおりページをめくると、右ページにはウィンド・ブレイカーを着て立っている意志の強そうなまなざしの成長した女性の写 真。左ページ上には押し葉、その下に同じく焼き印の文字。

いつか彼女は私たちが疑問視しない事柄を疑問に思いながら成長するのだろうか？
Will she grow up questioning the things we don't?

そしてその下にはテープで張り付けられた古ぼけたノートの切れっぱし。そこにタイプで打たれた文字。

いつか彼女はこれらの問題が自分を全く悩ませないと十分に確信を持つようになるだろうか？もし彼女がスポーツをするなら、もし彼女が健康で強く、そして自信を持っていれば、それらの問題は彼女を悩ませないようになるだろう。活動的であることが、あなたの人生を、他の女性達の人生を、これからの世代の女性達の人生を、違うものにすることができる。
闘いなさい、あなたが受け入れたくない事柄と。
話し合いなさい、あなたを悩ませる事柄について。
尋ねなさい、なせそれがそのようでならなければならないのか。
そしてそれを変えなさい。
Will she be confident enough that these issues don't bother her at all? If she plays sports, if she's healthy and strong and self-assured, then won't. Being active can make a difference in your life, in the lives of other women and in the lives of generations of women to come.
Fight the things you don't want to live with.
Talk about the things that bother you.
Ask why it has to be that way.
Then change it.

以上、女性ファッション誌 "VOGUE" 2月号に掲載された扉＋見開き2ページにわたるナイキの広告。2ページ目の左下のロゴと、手書き文字のキャッチフレーズ "just do it." でそれとわかる。

スポーツ用品メーカーの広告の典型的な例は、プロスポーツ選手をモデルとして起用することで、ナイキも先日引退を表明したNBAのマイケル・ジョーダン、ゴルファーのタイガー・ウッズ、テニスのモニカ・セレシュらを起用している。スーパースターをアイコンとすることでファンの心を掴むのは、単純にして大きな効果 のある方法であるが、スーパースターのキャラクター＝ブランド・キャラクターとなり、企業の顔は見えない。

この広告では、有名人は登場していない。ナイキのウェアはこんなにカッコイイ、シューズはこんな技術を使っていてこんなに機能がすぐれているなどとも主張していない。野球帽をかぶって泥まみれになって野球をしていた少女時代には、「女だから」という理由で制約を受けたり、自分で自分の限界を決めたりすることはなかったでしょうと問いかけ、健康で強くあることが人生を変えると、スポーツをすることの重要さを説いている。女性に自立しなさい、闘いなさいと静かに声援を送っている。

社会的影響力を持つ大企業が、単に製品を宣伝するのではなく、社会的意義のあるメッセージをそこにこめる。多くの人の賛同を得るメッセージというのは、"真実" であり、"良いこと" である。企業イメージというものは、嘘みたいにきれいなビジュアルを見せて作るのではなく、こうやって築いていくのだというお手本のような広告である。

• "Nike" のオフィシャル・サイト

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