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コピーを絵にする
広告主: Dockers / Levi Strauss & Co.
2/21/01 

Nice Pants
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ジーンズ・メーカー、リーバイ・ストラウス社のカーキ(チノパン)ブランド、ドッカーズの雑誌広告。広々とした芝生の上に、商品であるパンツで形作られた「NiCE PANTS」の文字。右下にブランドのラベルの写真。それだけ。

「NiCE PANTS」は、ドッカーズがテレビCMでも締めくくりのキメ言葉として使用し続けているキャッチフレーズ。このキャッチフレーズ、これ以上シンプルなものは他にないっていうくらいわかりやすいものだが、「いいパンツね」っていう意味以上に英語だと届くものがある。

日本で街をぶらついていて、アカの他人から声をかけられ、服装について誉められるなんていうのは、滅多にないと思うが、ニューヨーク(日本との対比に一都市であるニューヨークを引き合いに出すのは変だが、"アメリカ" というくくりはあまりに大きく、同じ現象がアーカンソーでも起きるものなのか不明なので、知っている範囲で述べてます)だと、「Nice pants」「Nice hat」「Nice shoes」と知らない人から誉められるのは珍しいことではない。

というわけで、簡単な単語二語にして、どこかで実際に見知らぬ誰かからそう言われているような、生身の人間の気配をこのコピーは与える。これをそのまま翻訳して、「ナイス・パンツ」と日本語でやったら、芸のないコピー以外のなにものにもならないだろうが。

キャッチフレーズである「NiCE PANTS」をいかにグラフィック化するか、というコンセプトから生まれたアイデアだと思うが、"i" の点の所は帽子にしたり、"N" は人間がはいてるパンツを重ねて作ったりというかわいい工夫がある。

大の字に寝っ転がって白い歯を輝かせて笑っている女の子が裸足だったり、その彼女を見ている視点が斜め俯瞰で少し離れた空中からのものだったりすることも、どこか気持ちいい。「ナイス・パ〜ンツ」と、聞こえてくる声に、のびのびとした空間的広さが感じられる。ドッカーズは、履き心地の良さ、気楽さをウリにしているブランドだから、この辺り、うまく訴求できていると思う。

そして、彼女が着ている服が、"フィットした" "白い" Tシャツ姿なのも絵として正しい。Nの一部だけに人を使うことで全体の絵の中でのポイントにしつつ、違和感を持たせず、かつ、NはNとして浮き立たせることに成功している。

奇をてらうことなく、正攻法で、随所に細やかでレベルの高いセンスを感じさせる広告だと思う。



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