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もうすぐバレンタイン・デー、というわけで今回はハーシーズのキスチョコ 用ディスペンサー(容器)。腕とスニーカーの靴底はゴム、その他はプラスティック製で、身長25cm、胴体 (顔...?) 直径17cm。ネジ式になっている胴体の底部分を開けてキスチョコを入れる。キャラクターの頭の部分には、キスチョコのトレードマークの旗のようなものがついていて、これを手で回転させると、口から見えている中の赤い円錐部分が一緒に回転し、中に入れたキスチョコが白い手袋をはめた両手の上に転がり落ちてくるという、極めて単純なしくみ。

口の大きさよりも小さいものなら、キスチョコ以外のものを入れたって、物理的にはいいわけだが、こんなにキスチョコの形をしていて頭頂部にハーシーズのロゴをはためかしている人形からキスチョコ以外のものが出てくるのは間違いのような気がする。

通常ならお菓子は食べきった後は箱なり袋を捨てておしまい、となるし、舌も違うものを求めるのだが、ディスペンサーとは不思議なもので、食べきってしまうと、燃料がなくなったような不足感が生まれる。よって全部食べるとまたキスチョコを補充することとなる。人は「捨てる」という行為があるからものごとと決別 できるのであって、このディスペンサーのような存在感で生活空間の一部を占められると、キスチョコがある生活というものが築かれることとなる。というわけで、ディスペンサーは継続購入に大きな役割を果 たす。

アメリカでは、コカ・コーラ、ペプシ、ピルスバリー(パンやクッキーの生地のメーカー)、Ｍ＆Ｍチョコ、ペッツなどの飲食品メーカーを中心として、コレクティブルズ collectiblesと呼ばれるこういったコレクターズ・アイテムが、よく販売されたり、プレミアムグッズとしてプレゼントされたりする。フリー・マーケットに行くと必ずこういったコレクティブルズを専門に扱っているお店がある。

これには、売られている１パッケージのボリュームが大きいことや、日本のように１パッケージの中の物を更に個別 に包装するという発想がないこととも関係しているのであろうか、黒人のメイドの陶器製のクッキージャー（昨今では人種問題としてとりざたされそう・・・）といったお菓子専用の入れ物が、昔からたいへんポピュラーであるというバックグラウンドもある。

人間には多かれ少なかれ収集癖があるのだろう。グリコのおまけ、仮面 ライダーやプロ野球カードなど、何かにはまった経験のある人は多いと思う。何気なく一つ手に入れると次の物も欲しくなり、そういった繰り返しである程度数が増えるといろんな種類の物が揃ったことに喜びを感じ、より徹底して集めたくなるという構造がある。キャラクターものが好きな日本にあって、グリコの１粒300メートルキャラメルやポッキー、**森永のチョコボールのディスペンサーなど、ないのが不思議に思えてくる。

• "ハーシーズ" のオフィシャル・サイト
• "ピルスバリー" のオフィシャル・サイト

**読者の方からキョロちゃんの形をした森永のチョコボールのディスペンサーがあるというご指摘をいただきました。勉強不足であったことをお詫び申し上げます・・・。　2/14/1999

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